炭酸水素ナトリウム注射液（メイロン®）

院長の白石です。薬品棚を見ていたら視界に丁寧に個包装されたアンプルがあり名前を見たらメイロンだと。私が研修医の時からある薬ですが、添付文書を見たら薬価基準収載は何と1967年とあり、まだ産まれてません。研修医の時は、救急救命や集中治療室でアシドーシス（ざっくり言えば体が酸性に傾くこと）の補正にある程度の量を使用しましたが、外来ではもっぱら20ｍｌ～40ｍｌを静脈注射します。

何に効果があるかと言えば、めまいと急性蕁麻疹らしいです。私は、主にめまいにしか使用したことはありません。メイロンの語源は「迷路」らしいです 。大塚製薬のホームページを見ると発売開始は1950年とありました。戦時中から旧海軍の船酔いや飛行機酔いに使用されていたと記載のホームページもあり、相当歴史は古そうです。血流改善効果や酸塩基平衡で抗めまい効果が生じると言われていますが、作用機序は完全に解明されておらず、比較対象試験もやっていないそうです。海外ではあまり使用されていないようです。何かわからないけど、使用すると効果があるから経験的に使っている珍しい薬です。

実際に以前外来をしていた際に、定期的にメイロンを２アンプル静注しに来院される患者様がいらっしゃいました。ニンニク注射ではないのですが、注射していると体調がいいそうでした。当院でも、めまいで来院された患者様に、耳（内耳）が原因のめまいの可能性が高く、患者様のご希望があれば、静脈注射をしております。現在の医学の趨勢はEBM(Evidence-based medicine)で、科学的データが非常に重要ですが、まあ例外があってもいいでしょうか？メイロンを調べてみて少し愛着がわきました。

本日も19：30まで受け付けております。今日は天気も良く心地よい一日ですね。それでは失礼いたします。