労働者の心の健康

  • 2021.10.16

院長の白石です。産業医をしていると色々と事業場から相談を受けます。ある程度の年齢の従業員の場合、悪性疾患で入院・手術されて復職はどうするのかとか、術後の抗癌剤の投与で通院が必要で時短勤務にしないと等。また年齢を問わずよくある事象として、表題の通り心の不調による休職についてです。

厚生労働省も2018年4月~2023年3月までの5年間に実施すべき第13次労働災害防止計画のなかでメンタルヘルス対策も重点施策のひとつとして位置付けています。

メンタルヘルス対策の推進について目標は

①仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上

②メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上

③ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上

となっています。

厚生労働省や警察庁のデータによると、ストレスなどを感じる労働者の割合は6割弱、職場のストレスの原因は6割が仕事の質・量、次いで3割半ばで仕事の失敗・責任の発生、3割で対人関係と続きます。個人的には対人関係がトップかと思っていました。また、精神障害等による労災認定件数はここ10年で倍増していますが、自殺された方は横ばいかやや減少のようです。これは労災認定のハードルが下がったからだと思います。

さて、心の健康は高血圧や脂質異常症と違って数値化できないのが難しいところです。職場で、ちょっと最近いつもと違う職員がいた場合、どこまで踏み込んでいいのか悩まれている管理職の方も多いと思います。心の不調が2週間以上続く場合は、一度医療機関の受診を勧めていただくのはよいかと思います。本来は精神科や心療内科に受診したいけど、なかなか予約が取れずに当院にいらっしゃる患者様もおられますが、ある程度の期間調子が悪く来院される方が多い印象です。職場の方が受診を勧めても最終的に受診するかはご本人次第ですが、職場からはそれ以上のアプローチは困難だと思います。受診するのはと抵抗がある職員の方には、各種相談窓口(電話やメール、SNS等)もあるので、活用してみたらとアドバイスするのもいいかもしれません。心の不調を訴えている方はお独りで悩んでいる場合が多いです、他者と繋がれる手段を提示していただくことは悪いことではないと思います。

この話題は深堀すればきりがないのでこの辺で。ではよい週末をお過ごしください。

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